| 昼ながら幽かに光る蛍一つ孟宗の籔を出でて消えたり 北原白秋 |
| 【日々雑感】 19 豊橋筆 豊橋筆は愛知県豊橋市とその付近で作られている筆です。 筆の生産量としては広島県の熊野筆が日本一ですが、豊橋筆は書道家用の高級筆として名が通っています。 豊橋筆の工房のひとつに筆庵という筆屋さんがあって、ダイレクトメールをいただいたので購入してみることにしました。 私もこれまで筆は何百本も使いましたし、以前は羊毛長鋒のとろとろした筆が好きだったのですが、最近は線の面白さよりもしっかりした字を書きたいと思うようになったので、正統派のバランスのよい筆を探しました。 お店の方からアドバイスもいただき、たくさんある種類の中から、中鋒で毛先の肉の量が多く、腰が安定しているという昇雲という筆を選びました。 さっそく試筆してみると、質の良い羊毛で墨含みがよく、少量の天尾（あまお。馬の尻尾の毛）を混ぜてあるので弾力があって穂先もよくまとまり、とてもなめらかな書き心地です。 以前に紹介した江戸筆と比べてみると、江戸筆は鋒先の鋭さと反応の良さで際立ち、この豊橋筆は書き手の意図を柔らかく受け止め、しっとりした書き味に特徴があるように思います。 筆庵さんのウェブサイトはこちら → http://www.rakuten.co.jp/hituan/ (2012年7月30日） |
