冬ごもり春さり来れば鳴かざりし鳥も来鳴きぬさかざりし花もさけれど山を深み入りても取らず草深み取りても見ず。秋山の木葉を見てはもみちをば取りてぞしのふ青きをば置きてぞ嘆くそこし恨めし秋山吾は（額田王）
春には鳥が鳴き，花も咲くが木や草が茂って山に入れない。秋は色づいた葉を手に取って楽しむが青い葉は悔しく思う。そこが残念だが私は秋がよい。

天智天皇が春と秋のどちらが優れているかを中臣鎌足に尋ねた折りに，額田王が詠んだ歌。二つの山を作って最後に結論を１行添える構成にしてみました。（２００８年９月）