第１回　大盂鼎（だいうてい）

西周初期：第３代康王期
盂が王から王室を補佐するよう命じられた、いわゆる冊命を記した銘文。

読み：王曰く「盂よ、戎を死司（おさめ）よ。罰訴を敏諫（すばやく決）せよ）。」
意味：王は盂に対して、軍隊を統率し、訴訟を迅速に処理することを命じた。

死：偏は死者の胸から上の残骨の形。旁は人の形。
司：亂の偏と司とを組み合わせた形。
戎：戈（ほこ）と干（たて）を組み合わせた形。兵器、武器、軍隊、いくさの意。
敏：偏は髪を結い髪飾りを付けた婦人の形。旁は又（手）。いそしむ意。
諫：つつしむ意。
罰：神に誓いをたてることばである言に網を被せてその誓いを無効にし、さらに刀を加えて破棄することを示す形。

第２回　召卣（しょうゆう）

西周初期：第４代昭王期
この青銅器の作者である召が、白懋父（はくぼうほ）という将軍から白馬を賜ったことを記した銘文。

読み：白懋父の贈り物を追せん。召、萬年永く光とす。
意味：白懋父からの贈り物を先祖に捧げよう。召は万年に至るまで永く誉とした。

白：白骨化した頭蓋骨の形。
懋：「木＋土＋木」の下に心を加えた形。
父：斧の頭部と又（右手）とを組み合わせた形。
双の下に口：おくりものの意。
召：召の両側に左右の手を添え、下に月、酉、皿を加えた形。この青銅器の作者名。
萬：サソリのような虫の形。

第３回　こう（病だれに興）鐘（こうしょう）

西周中期：第７代懿王期
青銅で作られた打楽器である編鐘に記された銘文。

読み：福ならんことを。用ってこう（病だれに興）の身を（玉に寓）光せんことを。
意味：福を授かりますよう。この鐘をもって私の身を光輝かせますよう。

福：神前に酒樽を供える形。
用：木を組んで作った柵の形。
寓の中に王（玉）：光輝かす。
光：燃え上がる火と跪いている人を上下に組み合わせた形。
病だれに興：この青銅器の作者名。
身：妊娠して腹の大きな人を横から見た形。

第４回　師兌簋（しえつき）

西周中期：第８代孝王期
師兌が王から官職を命ぜられた、いわゆる冊命を記した銘文。

読み：稽首し、あえて天子に對揚す。
意味：師兌は王に対して恭しく礼をし、君命にこたえてその主旨を広く世の中に示し表した。

稽：旨＋頁。頁は首の下に人を加えた形。
首：髪の毛と目を組み合わせた形。
敢：あえて。二つの手で柄杓を持つ形。
對：鋸歯のついた掘削の道具を手に持って土を打ち固める形。
揚：偏は両手で捧げ持つ形。
天：天子。手足を広げた人の上に大きな頭をつけた形。