芙蓉楼送辛漸

芙蓉樓送辛漸　王昌齡

寒雨連江夜入吳。平明送客楚山孤。
洛陽親友如相問、一片冰心在玉壺。

冷たい雨は川面に連なるように夜には呉にも降りだした。
夜明けに旅立つ友を見送ると楚の山がひとつ姿を見せている。
洛陽にいる親戚や友人がもし私のことを尋ねたならば、
一片の氷が白玉の壺の中にあるように澄みきった心境だと伝えてほしい。

王昌齡が左遷されて江寧（南京）にいるとき、訪ねてきた友人の辛漸を見送った時の作。
当時、王昌齡は汚職のうわさがあってすこぶる評判が悪く、洛陽の友人たちを心配させていました。
それに対して自らの潔白を主張した詩です。最後の一句は特に有名。
漢詩全体を円形にまとめ、氷壷と刻した印とを対比させてみました。